ジャズとエンジニア

ジャズやサイエンスやアニメなどの話を綴ります.

MENU

放射線の透過力 - 阻止能、LET、飛程の違い

皆様レントゲンなどでご存知の通り放射線はとても透過力の高いものです。
そして放射線にも色々な種類があり、その透過力の表し方も色々な指標がありとても分かりにくいです。
 
実際、第1種放射線取扱主任者の資格を持ってる私でも結構こんがらがったりします。(←あかんのですが)
というわけで今回はそんな放射線の透過力に関して、自分の復習を兼ねてまとめてみますね。
 

放射線の透過力

放射線の種類としてはガンマ線(エックス線)、電子線(ベータ線)、陽子線、α線中性子があります。
 
ガンマ線とエックス線は発生原理の違いによるもので、原子核の崩壊で発生したものをガンマ線といい、どちらも電磁波(光)の一種です。
可視光の波長を短くして行き、紫外線よりも短くなったものがエックス線です。
 
また電子線とベータ線も発生原理の違いによるもので、原子核の崩壊によって発生したものをベータ線といいます。
 
一般的に放射線の透過力は以下の順になります。
 
 
 α線は紙一枚で、ベータ線は薄いプラスチックで、γ線は厚い金属(鉛等)、中性子は大量の水等で止めることができます。
鉛シート 鉛テープ 鉛板 幅50mm×長さ1m (1mm厚)

鉛シート 鉛テープ 鉛板 幅50mm×長さ1m (1mm厚)

 

 (場所によってはこういう鉛シートで遮蔽したりします。)

 

阻止能

先ほど述べたように放射線が物質内を通過するときに、物質の電離や励起によりエネルギーを失っていき、最終的に止まります。
 
その物質中でのエネルギー損失を単位長さ当りで表したものが阻止能です。
阻止能の単位は[eV/μm]で表されます。
阻止能は重い物質の方が高く、質量や原子番号に比例します。
 
逆に放射線の速度に半比例します。つまり速度が高いと阻止能が低く、速度が低くなってくると一気にエネルギーを失います。(これをブラッグピークといいます。)
 
ブラッグピークはα線などの重粒子線でのみ示し、他の荷電粒子やガンマ線では示しません。
 

LET

LET(Linear energy Transfer)は線エネルギー付与といい、単位長さ当りに放射線が失うエネルギーのことを表します。
 
単位は阻止能と同様に[eV/μm]で表されます。
阻止能は放射線のエネルギーの変化とともに変わる値ですが、LETはその物質に入射してから止まるまでの阻止能の平均をとった値です。
 
一般的にエックス線、電子線等の物質との反応が小さいものを低LET放射線といい、アルファ線中性子線等の物質との反応が大きいものを高LET放射線といいます。
 

飛程

荷電粒子が物質に入射して、エネルギーをすべて失うまでに進んだ距離を飛程といいます。
 
入射エネルギーが高いほど、そして軽い物質中ほど飛程は長くなります。
またα線などの重い粒子ではほぼ直進して進みますが、ベータ線では曲がりながら進み、また制動放射(荷電粒子が原子核中の電場の影響で電磁波を放出すること)によるエネルギー損失もあり、単純な距離で飛程を定めることができません。
 
よって銃荷電粒子の場合は単位を単純に距離[m]で表し、電子の場合は単位面積当たりの質量[g・cm-2]で表します。
 

終わりに

以上、放射線の透過力、特に紛らわしい阻止能、LET、飛程に関してまとめてみました。
 
今回まとめたのは荷電粒子に関するものがメインで、ガンマ線の場合は電荷をもっていないためクーロン力が生じません。
よってガンマ線の透過力は光電効果やコンプトン散乱、電子対生成がメインになります。(また記事にしてみます。)
 
それでは皆様のお勉強のご参考になりましたら幸いです♪
 
原子力教科書 放射線遮蔽

原子力教科書 放射線遮蔽